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【ラダック2010】ヌブラで宇宙を見る。

その夜、僕は宇宙を見た。

これはヌブラの地上からみえた星空だ。もちろん肉眼とカメラのレンズを通した写真では幾分の差はあるかもしれないが、間違いなく、今までの人生で一番多くの星を見た。夜空の、黒い部分よりも光っている部分のほうが多かったかもしれない。電線も電柱もビルも、何も遮るもののない夜空を眺めていると、自分が宇宙にいるかのような錯覚になる。

地球はなんて素晴らしい星なんだろう。

次の日の夕方、Tenzinが「モモを作るよ!」と言って料理の支度を始めた。モモとは果物のピーチではなくて、ラダックの料理で、日本でいう「ぎょうざ」のようなものがある。

畑で取ってきたばかりのハーブを使う。マトンの臭み消しかな?

みんなで餃子の皮を作って、詰めていく。日本でも餃子パーティをやると楽しいけど、こうやってヌブラで現地の人とぎょうざを作るのは楽しかった。

いろんな形のモモが出来た。

蒸し餃子や焼き餃子が一般的だけど、ここでは油であげてくれた。サクサクした食感。

最後の日の夕方、恥ずかしがり屋で素敵な笑顔のノモレが、スカンプック村を案内してくれた。「ついてきて」と手招いてくれて、彼女を先頭に、林の抜け道や田んぼのそばを、1時間ほど散歩する。

そう、ここはトトロの世界。トトロが出てきても僕は驚かなかったかもしれない。

みんな、素敵な人たちだった。

ヌブラでの暮らしの日記は、これで最後になる。
そしてラダック、インドの旅の記録も、これが最後だ。

16回にわたるインドの日記も、最後になるとちょっと淋しい。読んでくれてありがとう。
あと1回だけ、まとめを書きます。

2010年インド・ラダックの旅の記事一覧

【ラダック2010】ヌブラ、スカンプックでの日々。

ヌブラではスカンプックという村に滞在した。峠を超えてカルドン村、カルサル村、ディスキット村、フンダル村と続き、そしてスカンプック村がある。旅行者もこのへんに来ることは少ないらしく、静かで穏やかな土地だった。レーから続く道路は、この辺りになると国境付近ということで、軍用トラックが多い。ミニバスは朝と夕方に、ディスキット方面に出ている。

宿のお世話になったTenzinのシスター、TSEWANG SPALZESさん(残念ながら発音できない)の家、SHAKRAT-PA HOUSEに案内してもらう。車の通りから、トトロの世界に迷い込んだような抜け道を歩いて行き、その家はあった。

来た瞬間から、この場所が気に入ることが直感で分かった。そこにある空気とか光の入り方が僕の心を落ち着かせた。アプリコットの樹にかかるハンモック。裏で飼われているにわとりたち。にゃーにゃーと言いながら寄ってくる猫。たくさんの花がこちらを向いていた。

裏の畑には、キャベツや人参、ハーブなどが育てられている。山の景色が雄大だ。しばらくここに寝転がってみた。

泊めていただいた部屋はこんな部屋で、家の人たちには、何から何までお世話してもらった。お礼してもしきれないくらい。ありがとうって何度言っただろう。窓から差し込む光が綺麗で、思わず写真を撮りまくった。冷え込む土地だけど、温かい毛布のおかげでぐっすり眠ることができた。

アバレ(お父さん)とノノレ(弟くん)。彼は、12歳くらいかな? シャイだけどしっかりもので、家の手伝いをよくしていたよ。夜、年代物のブラウン管テレビで「2012」のDVDを見せてくれた。毎日停電が起こる自給自足のこの土地にも「2012」があって驚いた。確かこの映画の物語では、チベットが水没するのだけど…

ノモレ(妹さん)本当に恥ずかしがり屋さんで、カメラを向けるとすーっと逃げていく(笑) でも時おり見せる笑顔が本当に素敵だった。言葉は通じないけど、現地語で挨拶をするとにっこりしてくれて、彼女の笑顔に癒された。家事を全部手伝っていて、料理から皿洗いまで、鶏や猫の世話もしていた。

庭にはハンモックがあって、そこによく横になってのんびりしていた。時間が止まったかのような(本当に、そう思えた)日々だった。穏やかな風、鳥の鳴き声、そして透き通った光が降り注ぐ。

アチェレが樹から、アプリコットを取ってくれた。甘くて美味しい。大自然が育んだ味だ。見た目は「びわ」でモモのようなテイスト。お腹の調子を整えるらしく、世界共通の果物の味は、異国の旅で疲れを癒してくれる(たくさん食べすぎて逆にお腹壊した人もいたけど、笑)

夕食はヌブラの家庭料理だ。まず野菜スープが出される。美味しい。それから焼きたてのチャパティーと、カリフラワーを中心とした炒め物、ツナを使った料理へと続く。

ツナはどうやって料理されているのだろうか?深い味わい。きっとビールがあれば極上のおつまみになるんだろう。そして、このカリフラワーの料理が美味しくて箸が進んだ(手が進んだ?)。これらのおかずを、チャパティーに包んで食べる。生のニンジンも甘くて新鮮でたくさん食べてしまった。ラダックの料理は全体的に好きだけど、ここで食べた料理は群を抜いて美味しかった。お腹いっぱいになって、眠りにつく。

次の記事で、インド・ラダック最後の記事になる。その夜、僕は宇宙を見る。

2010年インド・ラダックの旅の記事一覧

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